2020年5月29日

写真プリント(立体感)

網版を使って立体感や臨場感を表現する技法です。

ご覧のようにリアルな立体感が表現出来てると思います。うすグレー×濃いグレー×黒の3色プリントで仕上げてます。もちろん人物の顔でも出来ますし、色の組み合わせを変える事によって様々な表情を作り出す事も可能です。但し、このような立体感を出すためには元原稿(写真)の選別が重要になってきます。そもそも平面的な写真から立体感は出せません。これの選別眼を養うのも大切なスキルですね。また解像度や写真の内容によってセンスウ(ドットの数)を決める事も大切な要素です。高メッシュにしてドットを細かくすれば良いかと(基本的には良いのですが)いえばそうとも言えないのです。この辺はセンス(経験)のあるなしにかかわってきますね。

この写真は225メッシュ、70センです。手刷りの場合これが限界に近いです。これは印圧の問題です。人力パワーでは限界がありますので。自動機などの場合、これより高メッシュにする場合もありますが、その効果は期待してるほどではないですね。今までの経験では人力のこの程度の処理で十分かと思います。これはいくら細かな世界を作ってもそれを表現する土台(シャツ)が粗いからです。Tシャツの表面は実はかなり粗い世界ですから、あまり拘る意味が無いのです。

少し専門的になりすぎてるかな?要するにカッコイイ(?)写真があればそれを元にリアルな表現がシルクプリントで出来ると言う事です。最近はインクジェットプリントの性能がアップして、しかもコスト的にもだいぶ下がって来てるのでこれを利用する方が増えてます。私が見てもその仕上がりは素晴らしいと感じます。しかし、やはりシルクプリントの”味!と言いますかパワー(力)と言いますか、とにかくパット見たときのインパクトは別物ですね。くさい言い方をするとやはり人の手の力で作られた物は何かを感じさせてくれると思います。

当方はこの部分にこだわり、時代に逆行するかもしれませんが、まだまだ掘り下げて行きたいと思います。これの手助けになる新しいデジタル(製版機械)も開発されてます。今後はこれをどう使いこなすかが鍵になってくると感じてますので、勉強して新しいビジネススタイルも構築出来たらと思います。技術はどんどん進んでいますが、それを使いこなす人材が育ってないと言う、どの業界にもある状況なのかと思います。少しでもそれらの役に立てればと思います。

現場に行ってふっとサンプルプリントを見て、そんなことを感じて長々と書き出してしまいました。